結成から32年。これまで、パンクロックシーンの形成はもちろん、日本の音楽シーンの常識を覆してきたラフィンノーズ。その功績や伝説の数々、彼らへのリスペクトを公言するアーティストの数々はあまりに多過ぎてここでは触れないが、今なお全国各地で年間80本以上にも及ぶライブを行い続けている。最新アルバム「G.P.R」は今の彼らの真骨頂的作品だが、「作品は、あくまでもライブのためにある」という。50歳を超えてもなおライブシーンを走り続けるラフィンノーズのフロントアクト、チャーミー&ポンに話を聞いた。
取材・構成:松田義人(deco) 撮影:逵紀寿
チャーミー 自分では意識してなかったんだけど、気付いたら年間80本以上やってるね。
ポン 毎週末どこかでやってるから。各地で年々呼んでくれる人たちが増えていってるからね。呼んでくれるのは嬉しいけど……もう少し考えてくれと(笑)。
チャーミー 嬉しい悲鳴やな(笑)。
ポン ホンマに嬉しいよね。各地ええ子ばっかりで。
チャーミー 最近行ったところだと、石巻がすごかったね。被災地やから……っていうことが関係あるかないかは俺にはわからへんけど、ものすごい盛り上がったの。ウッソ~! っていうほどデカいハコでさ。呼んでくれた子に「お前、こんな大きいハコをおさえて大丈夫なの?」なんて言ってたんだけど、蓋を開けてみたらもうパンパンやねん。
ポン 東京やったら3分の1とかの動員やのに、地方のほうが燃えているという。それは前回のツアーやってんけどね。
ポン うん。スタッフを付けずにバンドをやっていくのは(1995年の)再結成後からずっと変わらんことやねんけどね。4人だけやったら、向き合うのはメンバーだけで、気を使わんとああだこうだと言えるでしょ。だから、メリットしかないという。
チャーミー ライブの行き帰りの移動中も常に話し合ってるから、当然密度が濃くなるんです。
ポン そうそう。わざわざするミーティングね。それは普段から話しあっておけば必要ないと。他のバンドのことは知らんけど、例えば自分とウマの合うスタッフとかがおったら「あいつ腹立つねんけどなぁ」みたいな話をし始めるんでしょ。それで「ミーティングです」っていうときに、その文句を「お前が言えや」と言わしたり。「何? お前今までそんなにため込んでいたんか!」みたいなね。俺らみたいな50歳のバンドでそんなことやってたらバカらしいから。スタッフを抱えるんじゃなしに、メンバー4人だけでああだこうだ言い合いながら、全国を回るのが一番。風通しは良くなるし、結果的にバンドも長く続くしね。
チャーミー あ、そう。まだそんなもん? もっとやってると思ってたわ。
チャーミー 僕たち前人未到なんですわ(笑)。やっぱりハタチのときは「バンドを続けられるのは、30代までやろうな」と思っとったし、いざ30になったときは「うーん、40代までかな」と。さらには「50歳でバンドをやり続けられるはずないじゃん」と。でも、気付いたら俺が今52歳で、ポンが51歳でしょ。常に「先がない」って思いながらやってて気付いたら、こんな状態になっていたという。
ポン でも、50歳を超えたら、自分でもビックリするくらい年のことはどうでも良くなるね。チャーミーはツアー先のホテルとかで記帳するとき「『50歳』って書くのがイヤや」言うとったけど、今はどう?
チャーミー 52歳になったら全然ヘッチャラ。もともと「パンクはノーエイジ」と思ってたけど、どうやらそうみたいね。お客も小学生から老人までバラバラやし。
ポン 最近すごいねん、子供が。最初は親が好きでライブに連れて来るんやろうけど、きっとお家でもガンガン聴いてるんでしょ。そしたら子供のほうが好きになってもうて、ライブに来たら目が本気やねん(笑)。小学1年生とかが真剣に一緒に歌ってるという……悪影響やな(笑)。
チャーミー ええんかな、俺。責任持てないよーっていう(笑)。
チャーミー だから余計にエグいんだよね(笑)。
ポン せやからラフィンノーズを知らない人には「はいはい。50歳の親父のバンドね。しかもパンクでしょ」っていうことで聴いてくれて全然OKなの。でも、「あれ? これは普通じゃないぞ。ナメてかかったらただの親父よりもずっと賢くてポップやんけ」って思わせたくて勝負してるから。それがなかったらとうにバンドを畳んでるとも思うし。
ポン ベレー(ギター)とキーヤン(ドラム/from.COBRA)が良かったよな。ベレーがボーカルのバリバリの曲も出来て。
チャーミー ベレーはすごい良かったね。「成長した」っていうよりも、俺が思う以上の曲を持ってくるから。レコーディングで俺がブースの中で一人で歌ってるやん。そうすると、ガラス越しに、ポンとベレーが俺のボーカル録りを聴いて、ああだこうだ言ってるのが見えるの。そうなるともう「あ、神様が2人おるな」と(笑)。絶対的な信頼を置いてる。あと、キーヤンね。「こんなにラフィンのサウンドが叩けるんや」と。センスもええしね。
ポン 俺は昔(COBRAで)キーヤンと一緒にやっとったけど、最初は「職業ミュージシャン」やと思ってたの。でも、今回ラフィンのツアーやレコーディングで「あ、この人はアーティストなんやな」と。彼もすごいことになってるね。歌、歌いやすいもんな。
チャーミー うん。だから、今回のアルバムはちょっと違うよ、っていうのが出来たね。
チャーミー そうそう。ライブにスコープを当てながら毎日を過ごしてる。もともとラフィンノーズってそうだったような気もするけどさ、最近は特にそう思ってる。だから、今回のアルバム「G.P.R」にしても「良い作品が出来た」っていう喜びはあるんだけど、それだけでは絶対に満足出来ないのね。アルバムはピストルのようなもので、「すごい飛ぶ玉とピストルが出来ました。これからそれをブッ放しに行きますよ」と。どんなに良いピストルを作っても、ブッ放さなくちゃ意味ないじゃん。だから、俺らがそのアルバムを持ってライブに行くことで、初めて「仕事」が始まるわけ。「仕事」って言うと誤解を招くかもしれないけど。
ポン いや、「仕事」やね。要はお客さんを燃えさすのが俺らの「仕事」やから。お家の中で聴いてもらうだけの作品やったら、それは俺らの「仕事」ちゃうもんな。
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「TOUR G.P.R」
11月23日(土祝)
下北沢シェルター(ぴあ:214-713)
11月29日(金)
京都U-STONE mini
11月30日(土祝)
岡山クレイジーママ2nd
12月6日(金)
静岡サナッシュ(ぴあ:214-466)
12月8日(日)
福岡graf
12月14日(土)
三重M'AXA(ぴあ:214-446)
12月15日(日)
神戸108
1月11日(土)
名古屋CLUB UPSET(ぴあ:214-390)
1月13日(祝月)
仙台enn 2nd
1月18日(土)
大阪KING COBRA
1月25日(土)
渋谷O-WEST(ぴあ:214-391)
「最新アルバム「G.P.R」(Letsrock)
1. Fueld Up
2. レッド・カーペット
3. サンレンダー
4. PRIME ROSE
5. G.P.R
6. Cry Of Livin
7. ANGEL
8. Crazy Feeling
9. デライト
10. NIGHT RAMPAGE
11. 24時間
ラフィンノーズ
1981年、チャーミーを中心に結成。やがてポン加入後にバンドが加速し、「インディーズの騎手」として、後のバンドブームを牽引。途中、活動を停止していた時期もあったが、1995年より現在まで休むことなくライブ、リリースの活動をメンバーのみで運営し続けている。現メンバーはチャーミー(ボーカル)、ポン(ベース)、ベレー(ギター)、キーヤン(ドラム/from COBRA)。
http://www.laughin.net/
チャーミー
1961年・宮城県気仙沼市出身。
ポン
1962年・大阪府八尾市出身。
「ラフィンノーズ」チケットぴあ特設インタビューページです。